和食器の型(形)
和食器は奔放で自由自在な形が大きな特徴です。作り手の個性次第、無限といえるほどの造形で、さながら自然界に存在するあらゆる事象を切り取って表現するかのようですね。
実用においては画一的な西洋のプレートが便利で、和食器は使いづらいものですけども、それを差し引いても余りあるほどの魅力を和の器は持っています。
しかし、どのように多様な姿形であっても人の手による物は例えばCGの様な表現は不可能です。三次元的な物理的制約があるからですね。そして材料の土や木材の特性による限界。なので、ベースとなる基本形は決まっております。円形と角形です。円と角から派生させていく他ありません。それを念頭においておきますと複雑な器も多少とっつきやすくなりますよ。
ここでは、和食器に使われる代表的なタイプ(型)を紹介致します。和食器の形ですね。他にも沢山の形がありますが、すべてを紹介するのは不可能ですので、主なものだけを取り上げています。
和食器の型
ここでは、和食器に使われる代表的なタイプ(型)を紹介致します。和食器の形ですね。他にも沢山の形がありますが、すべてを紹介するのは不可能ですので、主なものだけを取り上げています。
角型
四方・角長皿・まな板皿・長丸皿・菱・角違・五角・八角・隅切・短冊
四方(よほう) ※正方形
五角
八角
角長皿
長方形の皿は長手皿とも呼び、角だと角長皿、角が丸いと長丸皿といいます
長丸皿
隅切
カドを落としてあるもの
まな板皿
角違
角形を2つ位置を違えて合わせた造形
菱
短冊
三角
半月・三日月
半月は円形を元に、三日月は長皿を元にしたものです。
木の葉
扇
扇型は変則的な形のひとつと言えるでしょう。
一般的な料理は盛り難いはずです。
ところが余白をとる日本料理にはぴったりなんですね。 センターを決めるのが丸や四方よりも楽だからです。
特に刺身を盛ると決まるので、向付にはこのタイプが沢山あります。 前菜やデザートにもいいですよ。 箸置も可愛いですね。
開扇(かいせん)
扇を広げた形。
めでたい席でよく使われますが、日常的にも使えます。
扇面(せんめん)
扇に張る紙の形を模している。要部分が手前になるように盛ります。
半開扇(はんかいせん)
半分開いた扇の形です。下の様に、要の部分が右に来るように置きます。
割山椒
小鉢や珍味入れによく使われる形です。
山椒の実が3つに裂けた形。
見えそうで見えない造作が和え物類にピタリ。
自家製の塩辛でも、これに盛ると品が出ますよ。
つぼつぼ
手付・耳付
手付とは言っても、急須や薬缶の取っ手のようにそこを持ってはいけません。
(飾りですので)
底や縁を持ちます。
(弦部分に片手の指をそえるだけならかまいません)
盛り付けの注意点は、弦(取っ手)の手前側に料理を置くということ。
箸が弦にかからない位置に盛り込みます。
※似たようなものに【耳付】があります。
耳付は花瓶や壺、著道具などで見られる他、耐熱皿やパスタ皿など洋風料理の皿が多く、和食では陶板や小鍋類くらい。そう種類はありません。この場合の「耳」は実用に近いので、掴んでも構わないでしょう。
片口
酒を注ぐ「酒器の片口」以外の口は飾りです。
普通に料理を盛って下さい。
変形
一見子供が作ったような秩序のない形(めちゃくちゃ?)
型崩しの器にはとても惹かれます。
漆器の吸物椀などの秩序と反対の意味で、まさにこれぞ和食の器という気がします。 器がこうだから、秩序のある美しい盛り付けが出来るという考え方も出来ますよ。それは日本の風土や自然が何故美しいのかという答えでもありましょう。
なぶり(縁なぶり)
整った型の器の口縁を波打つような形にしたもの。
「なぶり」、「三方なぶり」、「四方なぶり」等
たんに押して湾曲させたものは「片押」、「二ッ押」、「三ツ押」
木瓜
木瓜(もっこう)とは、平安時代からある家紋です。
ウリを輪切りにした形、鳥の巣が抱える卵、そんな造形。
衣服の柄やすだれの帽額(もこう)などに使われたことから木瓜の字を。
4~5の花弁に文様を描いたものが多い。
瓢
瓢(ひさご)とは、ひょうたん・ふくべのことです。
丸形
もっとも多い形です。
主に皿ですが、椀も鉢もやはり丸型が基本。
輪花
菊をはじめあらゆる花がモチーフです
銅鑼(ドラ)
切立(きったて)
楕円(小判)
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