漆器のメンテナンス
以下で紹介する漆器の手入れ方法は、木地に塗り重ねた伝統的な漆器の例です。最近は一般の器とまったく同じように扱える塗り器も出ています。それらの扱いはその製品の説明書をお読みください。
漆器の扱い方
新品の漆器
購入した漆器は塗り上げてから充分寝かせていない場合が多く(約1年寝かせる必要があるからです)、うるし独特のにおいが残っているケースがあります。
普通に使用していればこのにおいは自然に抜けていきますが、最初はやはり気になりますので、このにおいを抜いてから使いたい。
漆器のにおい抜き色々
・短時間ぬるま湯(40℃前後)に浸けてから使う
・ぬるま湯で拭き洗い表面皮膜を作ったあと、酢や酒を霧吹きで吹きかけて布巾で拭き上げ洗い
・米のとぎ汁を温めて酢を少量加えた液体を作り、それを布に染み込ませて漆器を洗う
・数日間「米ぬか」に漬けておき、酢拭き
・深い器は内部に「おから」を詰めておき、酢拭き
上の例は応急であり、時間があれば陰干しが最も良いです。
・陰干しを続ける。直射日光を避けて外気に晒す
(日光の当たらぬ場所で10日前後風をあてる)
保存していた漆器を使う場合
重箱などは年に数回しか使わないもので、正月しか出さないご家庭もあります。 収納しておいた漆器にいきなり熱い料理などを盛ると、その部分の塗りが落ちたり剥がれたりする事があります。普段使っていない漆器を使う場合、ぬるま湯にしばらく浸して、柔らかい布で水分を拭きとってからから使いましょう。
※漆器は生きておりますので、あまりに長期間収納していると乾燥して痛んでしまいます。時々水分を吸わせて陰干しする事で長持ちします。
盛り付け
鉄の盛り箸は絶対に駄目。
竹箸なども避けて、出来れば塗りの箸を。理想は箸を使わず薄手の調理用衛生手袋をして直に盛るのが一番です。椀に汁を張る場合も金具が触れぬ様に注意します。
※電子レンジ・食器洗い、乾燥機は厳禁です
洗い方
他の器と一緒にしてはいけません。
漆器は漆器だけまとめてから下げて洗います。
漆器は汚れが簡単に落ちますので、ぬるま湯だけで。
スポンジではなく柔らかい布で洗います。
洗剤は使いません。塗りがあせて艶がなくなるからです。
(中性洗剤を薄めたものはOKなのですが使う理由はなし)
同じ理由で漂白剤も避けて下さい。
漆器自体は酸やアルカリに強くて丈夫なのですが、漆器の命は表面の艶と加飾の美しさで、それを維持するため洗剤は避けた方がいいのです。
塗りですから油(脂)も弾きますけども、気になる場合は二度洗い、三度洗いしたあと熱い湯で仕上げて拭き取るとあぶら気は消えます。
ご飯粒や粘り気が残っている場合と同様に、ぬるま湯を入れておくか浸け置くかすれば油切れも良い。
(長時間の浸け置きはしないこと)
洗い終えたら表面の水滴を拭きとって乾いたタオルの上に返して置きます。
乾いたら一度柔らかな布で空拭きし(水垢防止)、一晩陰干しに。
※この拭き取りの時、「両手に布巾を持つ」こと。手脂や指紋を漆器に付けない為です。
収納
陰干しにした漆器を仕舞います。
もう一度柔らかで乾いた綺麗な布を両手に、から拭きしながら和紙や布で包みます。
※このから拭きでカビを防止できます
(カビが出ても酢水で拭き取りから拭きすればすぐ落ちる)
木箱に収納しましょう。(できれば桐箱がよい)
冷暖房の影響の無い物置などに置いておきます。
上段は乾燥しやすいので、湿気のある下の方に置きましょう。
※普段使う漆器は食器棚でけっこうです。
直射日光は避けて、他の陶磁器や金属製の器と重ねないように。
※漆器が特に嫌うのは暖房の熱風(エアコン・ファンヒーター等)
それと、金属と触れる事です。憶えておきましょう。
直射日光もいけません。
要するに外部要因による乾燥に弱いという事です。