記事内に広告が含まれています

和食の調味料

日本料理の調味料

味醂

味醂の起源はよくわかっておらず、中国渡来とも、日本で生まれとも云われます。いずれにしても、このような調味料は日本独自のものであり外国には見られません。

調味料として使われだしたのは江戸後期から明治であり、それ以前は「甘い酒」として飲んでいたようです。

ミリンは、米、米麹、焼酎もしくは醸造用アルコールを原料とし、14%ほどの程度のアルコール分、40~50%の糖分を含有しています。

甘味の主体はブドウ糖ですので、食品への浸透性は砂糖よりも優れており、煮物などに適しています。

品の良い甘みのほか、ツヤと照りが出る、焼き色が出る、粘りが出る、良い香りがつく、などの特性。

また、10%を超えるアルコール分の作用により「組織に働いて煮崩れを防止する」(保水性を高めるため材料が締まる)、「臭みを取り除く」、「腐敗を防止する」、「素材の旨味と香りを引き出す」などの効果もあります。

これらの特徴を利用して、煮物・焼きダレ・麺ツユなどに使用します。

本みりん

アルコール分14%前後。糖分45%ほど。微酸性。微量の窒素成分が旨味を出す。上で説明した「みりん」はこの本味醂を指したもので、つまりミリンとはこれの事です。

本直し / 直し

柳蔭】(やなぎかげ)とも呼びます
(主に関西での呼び方)
一応ミリンですが、黄色ではなく透明に近い、酒として飲むリキュールですね。夏場にロックにして飲んだりします。
アルコール分22%ほど、エキスは16度未満。

みりん風

アルコールの含有量からミリンは酒税法上の「酒」であり、酒税がかかります。そういうこともあり、アルコール分が1%未満の「みりん風調味料」というものが販売されています。酒税がかからぬぶんだけ安くなるし、発酵の手間をかけずに「糖、アミノ酸、有機酸など」で作りますのでコストが低減。

「ミリンではありません」ので、プロはほどんど使いませんけども、家庭で甘味をつける用途には良いでしょう。そのぶん砂糖が減れば、家族の健康にも寄与しましょう。

ただ、人工的に甘味をつけただけの粗悪品もあるようですので、原材料表示をよく読んで使用された方がよろしいかと思います。

みりん風調味料

発酵性調味液

これも酒類には入らず、主に練り物工場などで使う業務用みりんで、一般に出回ることはほとんどありません。製菓用などに「違う名前」で売られているくらいです。

発酵調味料

現在売れているミリン(楽天)

人気があるミリン(Amazon)

料理酒

海外ではワインから蒸留酒まで実に様々なタイプの酒を料理に使いますが、日本料理で使うのは「日本酒(清酒)」か「赤酒」で、稀に「赤ワイン」(葡萄煮/甲州煮など)や焼酎を使うくらいです。

様々なタイプの日本酒を主に「煮切って」使うほか、調理専用の酒も沢山出ています。
※煮切る=加熱してアルコール分を飛ばすこと
(そのまま使うケースもあります)

赤酒

赤酒」とは、熊本の料理酒であり、米を原料にして一般の清酒よりも麹を多くして作るものです。
アミノ酸と糖による淡い色が付いており、アルコール分は11~16%、糖分は10~18%ほど。
木灰で中和するので、別名「灰持酒」(あくもちざけ)と言います。

料理のほか、ミリン同様屠蘇の材料にしたり、神事に使うこともあります。

東肥 赤酒

地酒と地伝酒

ほぼ同じものに、鹿児島の「地酒」と、出雲の「地伝酒」があります。

食酢

食酢の歴史はおそらく酒と同じくらい古いと思います。
記録では7000年前のバビロニア、日本への渡来は5世紀となっておりますが、実際には酒と二人三脚であり遥か昔から存在していたのではないでしょうか。酒と似た原理で酢は出来るのですから。

そういうわけですから、基本的に酢の原料はその国の酒と同じ原料になることが普通です。日本では米酢になり、イギリスでは大麦、フランスではブドウという具合ですね。

食酢は「醸造酢」と「合成酢」に大別できます。
料理に酢を加える場合、大半は「酢の香り」を利用するため、香りがほとんどない合成酢はあまり使いません。合成酢の場合は香りというよりも刺激ですから。
下ごしらえとか、骨を柔らかくするとか、香りを目的としない使用であっても、やはりあのキツイ刺激を食材に残したくないので料理人は避けるのです。

「酢の香り」という表現には「酸味をつける」という意味も含まれます。爽やかさを出したいのですね、料理に。

「ほのかに香る、まろやかな酸味」
これが理想になります。

これを日本料理で表現する場合、「米酢」が一番。
もう少し「コク」を加えたい場合は「粕酢」を使用します。
粕酢を「シャリ酢」にしている寿司屋もあります。


純粕酢

米酢の中で一番おすすめできる銘柄が「千鳥酢」です。京都の老舗『村山醸酢』の品物です。

酢の「よしあし」は少量を直接飲んでみる事で分かりますが、千鳥酢は一般の米酢とは明らかな違いがあります。

大手メーカーが千鳥酢の味を真似できない理由は、材料(米)の厳選と、昔風の仕込みにあるでしょう。要するに「コスト優先の大量生産」では造れないのだと思います。


千鳥酢

黒酢

やはり米酢であり仕込みにも時間をかけている鹿児島の「黒酢」
良いものだとは思います。

ただ、製造工程などから割高になるのは仕方ないと思うのですが、「黒酢は健康に良い」と言われだしてから値段が高騰。

そのせいで、もう料理に使うのをためらう程の価格になってしまいました。「料理酢」としてふんだんに使うには無理があり、「特別な理由」がある場合のみの使用になりますね。

どちらにしても、アレはもはや調味料ではなく「サプリメント」

(自分が知るかぎりにおいて、酢の健康効果というのは科学的に証明されていません。優れた調味料としての位置を捨て去り、妙な流行に乗るのも結構ですが、【流行りは廃り】と申します。いつかきた道。将来せつない事になるのかも知れません)

だからと言って「色だけ黒くした即席黒酢」を使うのはナンセンス。安くはなるが米酢よりも割高。典型的な「人気便乗商品」だと思います。原材料や製造工程を見れば、薩摩の黒酢とはまったく別のもので、たんなる「穀物酢」だと思うのですが。

黒酢を調味料として使うなら、このへんがおすすめです。


臨醐山黒酢 [内堀]

売れている酢(楽天)

人気のある酢(Amazon)

タイトルとURLをコピーしました