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本焼き包丁の手入れ

本焼包丁の使用(2)

ピカピカに輝く鏡面の本焼庖丁を見てると、つい忘れがちになるのが「鋼はサビとお友達」って事です。防錆加工をしていない本焼は油断すればすぐにサビます。

魚仲買でこんな物を見つけました。
庖丁の最終形態の一歩手前ってところです。

まさか本焼を扱う方がこんなヘマをするとは思えませんが、金属は放置しておけば最後はこうなるって胸に刻んでおきましょう。こんな形でリタイヤさせるのは庖丁があまりにも気の毒です。

通常の手入れ

日常的に本焼を使われている場合、「洗い」が大切です。 スポンジなどを使うケースが多いのでしょうが、昔ながらのやり方が本焼にはしっくりくるみたいです。野菜の切れ端(大根が一番良いでしょう)で磨くのです。

磨き粉を野菜につけて、

裏表を磨き上げます。

このあとスポンジを使って、マチから柄全体をよく洗いましょう。柄、口金、マチ周辺は意外と見落としがちなんですが、こうした周辺部分から劣化が始まるものです。毎回必ず 汚れを除いて拭き上げましょう。

水気を完全に拭き取るのが大事

目の細かな布などで仕上げますと、微細な瑕を残しません。

本焼包丁と鏡面

皆さんは購入時点で鏡面仕上げにしてもらってると思いますけども、これは庖丁を飾り物にしておく分には良いんですけど実用には疑問があります。

自分の好みにあった刃が付く頃には鏡面仕上げはすでに落ちているはずですし、実際に仕事に使用してますとシミが浮いてもきます。

恐怖の水玉模様は鏡面だろうがお構いなしです。染みとは言っても拭いて落ちるものではなくれっきとしたサビなのです。この模様が出ればもう大変、鏡面どころではありません。

表面から見える分以上に深く内部がやられてますから、市販のサビ取り剤など使っても意味はありません。番を揃えた水ペーパーは効果がありますが、我々は塗装職人ではなく庖丁職人です。

結局ヤスリ、つまり荒砥を当てるしかなくなります。刃欠けの場合と同じ事です。ですから仕事に使用する目的ならば、どっちみち鏡面仕上げは落とすハメになります。ならば最初から無いほうが良い。

私は波紋を出すのが好きです。

しかし当然ながら平のキメが荒くなりますので、終日使用をした場合は数日で確実にシミが浮いてきます。

このシミを落とす労力は並大抵ではないし、荒砥をしょっちゅう当てるのは庖丁によくありません。やはり光らせているとサビ難くなりますので、自ら鏡面にするしかないですね。

下の様にコンパウンドや鏡面仕上げ剤を使用してみても殆ど何の役にも立ちません。

かといって毎回砥ぎ屋に出すのも煩わしい話。

良い仕上げ石を使って自分で鏡面にしてしまいます。

全体を切刃と同じに磨くのは苦労しますが、水玉シミから解放される事を思えば労も厭いませんね。

裏押しは程ほどにしておきましょう。

爪が真っ黒に染まる頃になれば庖丁も輝きを放ちます。

詳しくは 包丁の磨き方

【実用本位で使う包丁は鏡面でない方がよい】

【鏡面を使うなら落ち着いて細心の注意をする】

そういうことでしょうね。

とくに鏡面は使った直後が最も肝心。
汚れや水気を完全に除去します。
それが出来ない環境ですと、鏡面使いは無理でしょう。

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