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菊花と彼岸花

食用菊 季節のあしらい

花一輪

港横浜の高層ホテルの中のバーで友人がバーテンをしてるんですが、そこでターキーのボトルを抱えてチビチビやってたんですよ。そうしましたら、「はいこれ」

黙って出されたのがしゃれたグラスに大吟醸、その中に菊の花びらが浮いてます。

食用菊

ちょっと意味が分からずに、友と数秒にらめっこ。
「なんだい、これ?」
「だって今日は9月9日でしょ!」
「いつだったかそっちの店で出してくれたじゃん、忘れたの!?」

瞬間「あー」でした。
自分でもお客に出す品ですけども、いきなりショットバーで出されるなんて想像もしてなかったのでちょいと驚きました。

重陽と菊酒


ずいぶんすたれてしまった感じですが、9月9日は重陽(ちょうよう)。
陰暦ですから現在の10月9日ですか。

菊の季節になりますので、【菊の節句】ともいいます。五節句の一つですが、他の節句にくらべ、影が少々薄くなっています。季節感のズレなどが原因でしょう。

陰陽思想が根でしょうけども、昔から奇数はめでたいとされてまして、陽の極が2つ重なる9月9日はめでたい節句になるんです。

菊は古来から薬用に使われていまして、邪気を払い長寿を願ってこの日は菊の花を飾ったり【菊酒】を飲んだりしました。

食用菊と菊花料理

料理としては重箱詰めの「おせち」があります。

「御節料理」っていうのは節句に作るもので、正月だけのものではないんですね。しかし今はもう正月料理に限定された感があります。

おせちは作るのが難儀としましても、節句にちなんだ菊花料理などでも、なかなか雰囲気が出るものですよね。

食用菊は独特の甘みと香りが特徴。
刺し身のあしらいによく使う小菊。

干し菊は便利です。主に酢の物椀物

干し菊・花小菊


大輪の花をつける延命楽と阿房宮があります。
阿房宮は黄色です。山形産が多いですね。

延命楽は「もってのほか(もって菊)」と「かきのもと」これはうす紫色。

『阿房宮』は当然不老長寿願望で有名な秦の始皇帝にちなむ名ですし、重陽の宴ですが、周の穆(ぼく)王時代から800年あまり経ってもなお少年の童顔であったという慈童が、魏の文帝に仙術を授けたのが始まりらしく、慈童は不老不死の長寿を菊から得た事にちなんで、文帝はこの日を花の盃としたのが事始。遣隋・遣唐使たちからこれが日本に伝わったといいます。

菊の花と長寿への願いはそれだけ密接だって事ですね。
『延命楽』と言う言葉も、それに沿って付いたものでしょう。


食用菊

彼岸花

曼珠沙華
曼珠沙華

彼岸花(曼珠沙華)は、言うまでもなく有毒植物。
故に毒を嫌う動物を避ける為に、墓地などに植えられます。

水にさらすと毒が抜けると云われまして、昔飢饉があった時など、食用にしたとありますが(澱粉が多いから)、毒抜きが足らずに中毒者が続出してます。

間違っても口にするべきではありません。比較的よく見かける花ですので、子供さんをお持ちの方は注意して下さい。

日本では不吉な存在として忌み嫌われる傾向がありまして、当然和食で使うこともまずありません。飾りに使うのもいけません。

しかし、おいらはこの花が嫌いではありません。寧ろ好きです。
個人的な思い出を書いても仕方ありませんので省きますが、懐かしい気持ちになるからです。可愛い花も愛らしくて結構なもんですけど、ケンのある毒花もまた好し、です

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