季節のあしらい【春】
穂じそ(束穂)と花穂
「穂じそ」は紫蘇(しそ)の若芽で、熟成しない実をつけたもの。「束穂」とも呼びます。
花が開き始めたものが「花穂」になります。
紫蘇の花穂(かすい)であり、葉はもちろん大葉(シソの葉)です。
赤紫蘇の若芽は「ムラ芽・赤芽」と言って、これもあしらいに使用します。花は食用でもありますので、刺身醤油に花を擦って落とし、刺身と一緒に食べます。
栽培にて年中出回っていますが、季節的には春~夏。しかし夏が旬の大葉と同じく、もはや年中あたりまえに売っている「通年のあしらい」となってますし、それでも違和感のない添えの定番ですから、もう「季節もの」と言えないかも知れません。
花穂
穂じそ
わさび菜
名前はわさび菜ですがわさびの葉ではありません。
ダイコン葉に似た欠刻がある葉形で、葉面がチリメン状にちじむ丸茎の葉でわさびに似た独特の辛味があります。生でも、煮物でも、さっぱりした味を楽しんで頂けます。
特徴としては生で食べられること。爽やかな辛味からレタス・パセリに代わる生食・装飾野菜としても適しています。あしらいに使えますね。
擬宝珠
擬宝珠(ギボウシ)はユリ科(現在はクサスギカズラ科)の多年草で、山に自生し美しい花を咲かせます。流通しているのは多くが栽培種。
擬宝珠と言いますと、山菜として知られる「ウルイ」を想起しますが、ウルイもギボウシの一種です。
他にも結構な種類がありますが、掻敷などあしらいに向いているのは「スジギボウシ」などです。
豆苗
豆苗(とうみょう)はエンドウの若い葉と茎をつんだもの。
カイワレと同じくスプラウトであり、同じように使う。
桜の花
桜花は日本の春を象徴する花です。
稲作と深い関連があるなど文化的な側面もありますが、人気の秘密は「はかなさ」にあると思います。
「美しいまま短く散りゆく」のが日本人の心を捉えるのでしょう。そうした精神性を理解する事で、上手にあしらいに使うことができるでしょう。
食用(主に塩漬け)にするのは八重桜ですが、あしらいや飾りには代表種の「ソメイヨシノ」が綺麗ですね。
桃の花・桃の枝
啓蟄の頃に花を咲かせる桃は、古くから邪気を払うとされ、鬼退治の桃太郎の民話とか、桃の節句に女児の健やかな成長を祈願するといった伝承が今も残っています。
桃の枝花は、3月3日を挟んだ時候のあしらいとして料理を彩ることができます。
金魚草(スナップドラゴン)
キンギョソウ(金魚草)は、地中海沿岸部原産でオオバコ科の植物。金魚のような姿の花を咲かせ、色も黄、赤、桃、白、橙などバラエティに富んでいます。
エディブルフラワー(食用花)のスナップドラゴンとしても知られ、飾り(彩り)と同時に味覚や嗅覚を楽しませる料理花です。
桜草
サクラソウ(桜草)はサクラソウ科の多年草。
サクラソウの仲間は種類が非常に多く、広く栽培されています。料理飾りとしての利用はそれ専用に販売されているものを用いた方が安全です。
蔓紫の穂
蔓紫(ツルムラサキ)はツルムラサキ科のつる性一年生草で、葉や茎を食用にするために栽培されています。
開花は夏~晩夏。花は食用にしませんが、穂の形はご覧のように良いものですから料理飾りやツマになります。花穂の代わりに使ってみるのもいいですね。
麦穂
人類文明の起源となった農耕。その作物がムギです。およそ一万年前にメソポタミアで栽培が始まり、人類の半数が主食とし、残りも何らかの形で食しているムギ類。その大半がコムギ。
主食でこそありませんが、日本でも大変古くから栽培されていて、増加傾向にあるようです。こうした背景を踏まえて、これを何にどうあしらうか、それを想像するだけで楽しいものがあります。
大別して二粒系(デュラムコムギ)と普通系(パンコムギ)があり、国内で栽培される小麦は「パンコムギ」で、秋に播いて冬を越させ春に出穂するタイプ。
麦穂
アオキの葉
青木はミズキ科で、よく見かける常緑低木です。
花期は春から初夏で、秋に綺麗な実がつきます。
葉は苦味があり、胃の薬になるとされています。
ざっくりとした雰囲気は漆器や磁器とは反対の趣を持つ陶器のもので、それに合う料理に敷くとよいかも知れません。
春蘭・防風
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