夏野菜
夏のフルーツ
エシャレット
夏の青菜
夏の葉菜類です。
非結球型の「なっ葉」、緑黄色野菜ですね。
ビタミンとミネラル、新栄養素がたっぷり含まれ、栄養のバランスが非常に良いです。健康的なものばかりですが、総じてアクが強いのが特徴。かと言ってアクを抜きすぎれば栄養素を失う。難しいところです。
※小白菜は夏ですが、ちんげん菜はどちらかと言えば秋野菜です
つるむらさき
蔓紫(つるむらさき)、中国名「木耳菜」
ムチンなどを含み、健康野菜で知られる。
かなりアクが強い。
青茎と赤茎があり、こちらは青茎。
空心菜
くうしんさい、空心菜(空芯菜)というのは中国名で、「エンサイ」又は「ヨウサイ」が和名。沖縄では一般的な青菜です。栄養はあるが、アクがからんで変色しやすい。
不断草(スイスチャード)
スイスチャード
モロヘイヤ
パクチョイ
ちんげん菜
しその葉
紫蘇(シソ科)
定番のように和食にあしらわれている青しその葉ですが、たんなる飾り物ではなく、ぜひ食べて欲しい野菜です。
シソの香り成分「ペリルアルデヒド」には強力な防腐効果があり、また食欲を増進させる効能があり、胃の健康にも役立ちます。
β-カロテンの含有量が飛び抜けて多く、ビタミンB、カルシウム、食物繊維、カリウムなども豊富。
赤しその葉には話題のポルフェノールも。
しかし1枚食べても絶対量がしれてますので、あまりに微量。この野菜はあしらいなどではなく、サラダなどにしてガンガン食べるべき食材かもしれません。
大葉(青紫蘇の葉)
赤紫蘇の葉
梅干し作りに欠かせない赤じその葉。これの若い芽が紫芽です。
キュウリ
キュウリ(胡瓜)の原産地はヒマラヤ山麓。
そこから東西に伝播し、シルクロードから中国を経て日本へ。なので西の瓜、「胡瓜」という名です(中国では黄瓜と呼ばれることもある)
キュウリの品種は数え切れない程たくさんありますが、大きく分けて「華南型」「華北型」「ピックル型」の三種が主に栽培されて来ました。そのほとんど全部がF1(1代雑種)です。
現在流通しているキュウリは、華北型が在来の華南型と交雑した「夏型雑種」を起源とする【白いぼ】という品種で、店で売っている胡瓜はほぼ全部がコレですね。
白イボ型のブルム(果皮の白い粉)がない、ブルムレスタイプが我々が使っているキュウリなのです。
(白い粉が農薬にみえるため、ブルムレスになった経緯が)
(本当は白いブルムがあった方が甘みが強く美味しい)
四葉系キュウリ
静岡でよく作られていた【「四葉」(スーヨー)きゅうり】はイボが立ち歯切れが良く、美味しい胡瓜。
下は菜園用の種ですが、今は見なくなったキュウリの種類がよく分かりますよ。
春型雑種
華南型が在来の華北型と交雑したと思われる品種。
大阪産とされる「毛馬」、石川県の「加賀太」(金沢太)、他各地で栽培されています。
加賀太きゅうり
昭和のはじめ頃から栽培されています
近江町北形青果
加賀野菜の代表的な野菜の一つで 金沢 夏の定番野菜です。
煮物にするのが、金沢流。
肉そぼろといっしょに、だし汁でさっと煮て、冷やして召し上がってくださいな。
【瓜】白ウリ、青ウリ、、、
ウリは夏の風物詩で、江戸の頃は「うり売り」の声が夏を感じさせたと云います。関東地方では小さめの「東京早生」とか大きな「東京大しろうり」とか、皮が白くなる「しろうり」が好まれ、螺旋状に剥いて甘酢に漬けた「雷干し」が人気でした。
もちろん白ウリは関東だけではなく、関西の「桂うり」、九州の「縞うり」など地方独特のシロウリがあります。
シロウリは「マクワウリ」「メロン」と同種ですが、甘みがないタイプです。極めて近いものは意外ですが「キワノ」
属が違う「うり仲間」には、「トウガン」、「ニガウリ」、「ユウガオ」、「ハヤトウリ」など。
※ユウガオは殆ど「かんぴょう」に加工される為、野菜としての流通はほぼありません。
「ハグラウリ」は白うりの中でも一番柔らかい。
千葉や茨城などで栽培されている白ウリです。
ニガウリは今や「苦瓜・レイシ」というよりも「ゴーヤ」の方が通りが良い南国ウリ。白いのは生で食べられる「サラダゴーヤ」です。
ゴーヤほどの知名度はありませんが、沖縄ではゴーヤのように普通に食べられている「へちま」(ナーベラ)は、味噌汁に入れるとなかなか美味しいです。
かぼちゃ類
南京lカボチャ
現在流通しているカボチャの大半は西洋かぼちゃ。
それに風変わりなペポ系が少々という感じです。
正直に申し上げて「日本カボチャよりも美味しい」からこそ、こうなっているのだと思います。
別名「栗かぼちゃ」とも言う西洋カボチャは確かにホクホクして甘みがあり美味しいもの。それに扱いやすい。
日本カボチャはその反対だと言ってもよいでしょう。
旨さを出すには特別な手間をかける必要があり、一般家庭では手に余るかも知れません。
甘みが少なく、水気が多いので「薄味の和風煮物」には適するのですが、一般的には正直扱いにくいと思います。
カボチャにはβカロチンが多く、これは脂溶性ですから油との相性が良いとされます。しかし西洋かぼちゃはカロリーが高め(炭水化物が多い)ので油の使いすぎには注意が必要です。ミルクなどを使って煮ると旨味を引き出すことができますよ。
日本カボチャ
皮はゴツゴツと固いが、身は水気があり剥きやすい。
桂剥きにして刺身のケンにしたりします。
黒皮種
鹿ヶ谷南瓜
京都特産でヒョウタン形になる鹿ヶ谷(ししがたに)カボチャ。
バターナッツ南瓜
日本南瓜と同じく中央アメリカ原産。なので西洋カボチャではなく、日本カボチャの仲間です。名前の通りコクのあるカボチャです。
西洋カボチャ
南瓜の中でも非常に扱いやすく、万能性のある「黒皮栗(えびす)」という品種が現在の主流で、お店にあるカボチャの殆ど全部がこの黒皮栗だと思っても間違いありません。
黒皮栗
白皮栗種
飛騨地方の宿儺(すくな)南瓜。
白皮南瓜
これは黒皮栗が少ない寒い時期に出回るカボチャ。
同じく白皮栗の「白爵」
赤皮栗種
その他の南瓜
レストランなどで使われる小さいタイプ
白皮のミニ南瓜
生で食べられるサラダ南瓜
コリンキー
金糸瓜
錦糸瓜、糸瓜、そうめん南瓜
金糸瓜(きんしうり)は、別名「そうめん南瓜」ともいう、ズッキーニと同じく「ペポかぼちゃ」の一種。
※糸瓜(いとうり)など別称が多い
※錦糸瓜とも書く
茹でると果肉が麺のようにほぐれ、それを三杯酢などで食べる。南瓜とは思えない弾力があるので、それが可能。和食でも夏の献立によく使用する南瓜。
ズッキーニ/ペポ南瓜
ズッキーニは、昔は輸入物しかなく、国内で栽培が始まったのは80年代からと比較的新顔の野菜。割りとスムーズに受け入れられ、どこの店にも置いているため入手しやすい。成功した例と言えましょう。
ヨーロッパでは春を代表する野菜ですが、日本での旬は夏。
ペポカボチャなのですが、カボチャというよりもキュウリに近い感じがする食材です。
油と相性が良いので、色々な加熱調理にも適します。
花は食用になる「花ズッキーニ」
一般的な品種は緑系の「グリーントスカ」と黄色系の「オーラム」
他に球形の「ゴールディー」や、UFOのような形をした「アラジン」など。
飾り南瓜
飾り用のミニ南瓜です。品種はズッキーニ同様のペポ南瓜の一種ですが食用ではありません。南瓜を使用したお祭り『ハロウィン』などでも使用される南瓜です。大きさは直径平均6cmから10cm程度の小さい南瓜です。
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蓴菜(じゅんさい)、ルバーブ、トマト類、レタス類 >>
蓴菜(じゅんさい)
じゅんさい(蓴菜)を家で食す、なんてご家庭はまずめったには無いと思います。生産地、秋田県の三種町あたりじゃ別かもしれませんが。
夏場になりますと、和食では必ず使う食材です。
【スイレン】睡蓮(ひつじぐさ)科の多年草水草で、正確にはハゴロモモ科になるとか。
千年の古池に自生するといわれまして、きれいな水でしか育ちません。
古語では「ぬなは(沼縄)」
その若い芽を食用にします。
椀種にもしますが、ヌメリのある独特の食感と香りを味わうには酢の物が良いでしょう。普通はポン酢で食べますが、山葵醤油でも、生姜醤油でも結構です。よく冷やして食べるのがよいですね。
香りの高い生はアクがからんで変色するのが早いので、注意しましょう。
ルバーブ
ルバーブは、別名「食用大黄」「丸葉大黄」ともいうタデ科レウム属の野菜です。
名前の通り、整腸薬の「ダイオウ」の近縁種で、古代ギリシャの時代から薬用兼食用として栽培されていた歴史がありますが、日本に渡来したのは明治で、いまだに生鮮野菜としては一般化していません。
フキに似た葉柄部分(茎)を食べるのですが、アク(酸味)がかなり強いので、皮を剥きアク抜きして和え物やサラダなどにします。
しかし、皮の部分にあるアントシアニン色素が健康に寄与する成分でもありますので、できれば皮付きで料理したいですね。
皮付きのまま適当な長さにカットして砂糖をまぶしておき、そのまま煮詰めてジャムにするのです。水溶性の食物繊維であるペクチンが多いのでジャム作りに適しているのです。
トマト類
トマトの原産地はアンデス高地で、栽培が盛んになったのはメキシコだと云われます。
ヨーロッパへは16世紀、日本には17世紀に渡来したとされます。日本で一般化したのは昭和になってから。
昭和初期から本格導入され、F1などが育種されますが、中南米の高地に適したトマトは日本の気候になじまず、結局アメリカで改良された「ポンテローザ」が定着することになります。
以後アメリカ系トマトが改良された桃色大果「桃太郎」という完熟系の品種が全国に普及。
完熟系の桃太郎以前に人気のあった愛知県の「ファーストトマト」は、現在も冬から春にかけて店頭に並びます。果頂が尖っているのがファーストの特徴で、果肉が多くてゼリー部分が少ない使いやすいトマです。
現在のトマトは殆ど全部が完熟系の「桃太郎」の系統で、近年は果物なみに糖度を高めたフルーツトマト(シュガートマト)や塩トマトなどが多くなりました。
塩トマト
流通時期:2月~4月
塩トマトは、熊本県宇城(不知火)地域など土壌塩分濃度が高い干拓地などで栽培される特別栽培のトマトで、糖度が8度以上。 果物並みに甘くフルーツトマトの元祖であり、しっかりした歯ごたえと一般のフルーツトマトとは全く異なる味覚を持つ。
食用ホウズキ(酸漿)
日本でお馴染みの「ほおずき」は主に観賞用であり、子供が口に入れるものの、そのままでは苦くて食用になりません。
ところが適度な酸味と甘味がある【フィサリス】と【トマティーヨ】は食用が目的で栽培されるもの。トマティーヨは酸味が強いのでチリソースに加工されますが、フィサリスはトマトと同じようにして食べられる甘いホオズキです。
レタス類
チシャ(萵苣・苣、チサ)=レタス
レタスのイメージはハイカラなものがあり、比較的新しい野菜と思われがちなのですが、実は大変に歴史の古い野菜で、日本でも奈良時代以前から利用されていました。例えばホウレン草の別名を赤ジシャ、フダンソウは唐ジシャ、エンダイブはオランダジシャ、などと呼ぶのはチシャ(レタス)がいかに古くから日本に定着していたかを表しております。
和食では「ちしゃとう」をよく使いますが、これは一手間かけた料理にします。
ちしゃとう/茎ちしゃ
これには和食ならではの深い意味合いがあり、それはレタスの歴史に関わりがあるのです。それを説明して行きましょう。
レタスはキク科アキノノゲシ属の一年草・二年草。
地中海からアジアにかけて自生していたものが地中海地方で栽培され始めたのがおよそ5000年前。これが西と東に伝播します。野菜として改良進化をとげたのは西欧で、東の中国に伝わったのは7世紀以前頃と思われます。
中国には「カの国」から伝わったとされ、カの苣(レタスの意)と呼ばれ、萵苣(わきょ)の字をあてています。同時期に日本にも伝わっており、古書に萵苣の字が散見できます。
切り口から乳のような白い液が出る事から「乳草」と呼ばれていた様で、このチチクサがなまって「チサ」となり、それが「チチャ」と落ち着いたのが平安時代ごろ。以来レタス/萵苣の和名は「ちしゃ」になりました。
※この白い液はポリフェノールの一種『ラクチュコピクリン lactucopicrin』
レタスの語源にもなっている。ラテン語のlactuca「牛乳 lac」
ラクチュコピクリンには「鎮静作用、催眠促進」の効果があり、昔は粉末にしたレタスを鎮静剤として利用していた。この事からレタスを食べると眠くなるという話もあるが、俗説にすぎず、食べれる量のレタスが人間にそのような影響を与えるとは考えられない。
レタスの種類
レタスは主に四種類に大別できます。
★1 結球する玉ちしゃ(クリプス型とバター型)
★2 葉ちしゃ
★3 掻きちしゃ
★4 茎ちしゃ
1 玉レタス(玉ちしゃ)━ヘッドレタス (L. s. var. capiata)
クリスプヘッド型-レタス
一般にレタスとはこれを指す
クリスプヘッド型-玉レタス
バターヘッド型-サラダ菜
結球がゆるいが歯ごたえが良い
バターヘッド型-サラダ菜
結球するクリプス型の玉レタスをレタスと呼び、バター型をサラダ菜と呼んでおりますが、これは日本独特のもの。
2 葉チシャ・縮緬ヂシャ━リーフレタス (L. s. var. crispa)
結球しないレタス シルクレタスなど
プリーツレタス・グリンカール・サニーレタス
サニーレタスのヒット以前は日本での栽培は殆ど無かった。
※サニーレタス、プリーツレタスなどは商品名であり品種名ではない
グリーンリーフ
サニーレタス
玉レタス、サラダ菜 、グリーンリーフ、サニーレタス
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3 掻きちしゃ━カッティングレタス (L. s. var. crispa)
ステムレタスの一種で日本古来の種。
株の生育にあわせて下葉を掻きとっていくのでこの名がある。
赤掻きチシャ 紫系
白掻きチシャ 灰緑色
日本人に古くから親しまれた種だったが(味噌和え、おひたし等)、戦後他のレタスに押され一時完全に消え去った。しかし焼肉ブームなどの影響もあり、サンチュ(包み菜、包菜-パオサイ)などでなんとか復活している。
サンチュ
4 茎ちしゃ━ステムレタス(L. s. var. angustana)
茎/ステム (stem) を食べるレタス。セルタス、アスパラガスレタスとも呼ぶ。
「ちしゃとう」はこの種になります。
結球せず「とう立ち」させて利用する茎レタス。
この場合のトウは(とう/花茎)ではなく、長く伸びた主茎を指していて、皮を剥いて食用にします。
ちなみに、ちしゃとうの旬は5月~10月。
夏野菜レタスとほぼ同じ時期です。
中国料理でも使うが、和食でも結構使う食材です。和食の場合、【ちしゃとう】。チシャトウの漢字は「萵苣薹」、中国では「萵笋」です。
レタスと同じ夏としましたが、早春から出回ります。
これを剥いて乾燥させたものが【山クラゲ】で、水で戻して使用します。
また、日本ではあまり栽培されていないがアメリカで多い結球性レタスがあり、シーザーサラダに使うコスレタス(ロメインレタス)と言います。これを、
立ちちしゃ━コスレタス (L. s. var. longifolia) と呼びます。
玉型ではなく白菜型の結球が特徴。
ホワイトコス・ジャイアントコス・パリスアイランドコスなどの品種があり、これは原産のエーゲ海コス島に因んだもの。
ロメインレタス
レタスの区分の仕方としてはリーフレタス、ヘッドレタス(クリプス型・バター型)、ローメインレタス、ステムレタス(ステムとカッティング)の4変種6型とできるでしょう。
クリスプヘッド型の玉レタス(玉ちしゃ)がレタスの代名詞になったのは1960年以降の話でして、それ以前は掻きちしゃを加熱調理するのが日本人の利用法でした。サラダレタスが古来のカキチシャを駆逐し、料理形態も変わってしまったのですが、古い名残りが今も伝わっているのが面白い事に沖縄でして、汁物の具にしたり、加熱して食べている様です。レタスの栄養は非常に優れていますので、「量を食べれる加熱調理」は注目なのですよ。(ビタミンを破壊しない温度ならですが)
セルタス(ちしゃとう)を和食で多用するのはね、『温故知新』なのです。
もちろん「仕上がりが美しい」って理由もありますが、チシャは古代日本より伝わる由緒ある野菜なのですよ。古の掻きちしゃを踏まえ、和では新顔のステムレタスにつなぐ。
そしてその伝統の食べかたは加熱調理です。そこを意識した調理法が板前には求められるのです。色々ありますが、湯がいて緑を出し、味噌床や糠床に漬け込む技法などは単純ながらもっとも和食らしく、そして栄養も破壊しない理想的な調理法法と言えましょう。※酵素のみを破壊する加熱をしたいものです。
チシャトウ〈クキレタス〉
サンチュ、ロメインレタス 、チシャトウ
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山くらげ
チチャトウ/茎ちしゃ(ステムレタス)を細く切り乾燥させたものを『山くらげ』と言います。
別名「貢菜」で、清王朝の皇帝に献上されていた食べ物だからですな。茎の皮を剥いて白茎は青果として、しまった青い茎を加工します。
乾物ですので水で戻して使用します。主として漬物などにしますけども、和食で利用する場合は煮しめて使う事が多いです。