冬の魚
ブリ(鰤)
ブリ(鰤)は出世魚の筆頭株。
「わかし」→「いなだ」→「わらさ」→「ぶり」
※ワラササイズをハマチと呼びます(主に養殖)
冬に旬をむかえることから「寒ブリ」と称します。
不飽和脂肪酸が豊富な魚で、DHA、EPA、パルミトオレイン酸が沢山。
寒ブリは非常に脂がありますので、刺身には一工夫したいところ。
塩ずり、炙って冷水にとる、湯霜にする、などですね。でもこの魚は照り焼きがベストです。
トラフグ(虎河豚)
河豚と言えば山口県の下関を連想しますが、実はここは集積場と言ってもよく、全国の河豚が集まる場所なのです。ここに集まったフグが大都市に送られて行くわけです。ですから主産地であると考えるのは誤りです。
フグの美味さを語る必要はない思いますが、ほとんどのトラ河豚は養殖であり、一度は天然のフグとの味の差を確かめてみておくのもいいでしょう。
ヒラメ(鮃)
白身の魚と言っても色々な魚がおります。
しかし、春の鯛、そして冬のヒラメに尽きるでしょうね。
非の打ち所がないというか、完璧に近い味です。
それは栄養素のバランスが非常に優れてる点からも明白。
ヒラメが美味い理由はたんぱく質のアミノ酸バランスにあります。脂肪分よりもタンパク質メインの魚で、もちろん低脂肪。
養殖ヒラメは脂肪分が2倍にもなりますので、「別の魚」と言えるかも。
ヒラメは冬場の天然モノが絶対です。
ホシガレイ(星鰈)
カレイ類で一番美味しいのは「ほしがれい」と「まつかわ」だと言われます。
しかし松皮はめったに入荷せず、入荷してもややサイズオーバーが常。なので「ホシ」が一番。 自分が若い時はそういう感じでした。
今では両者ともに事実上「幻」になってしまい、天然物は市場でもなかなか見られません。
絶滅の前に養殖などを始めてましたけども、あまり軌道に乗ってない感じがします。もし水揚げがあれば是非欲しい魚の一つですね。
※おそらく両サイトにも入荷はありませんが、万が一という可能性もあります。
マツカワ(松皮)
カレイ類で最高とされ、美味で知られた「ほしがれい」はほとんど消えました。
ホシとよく似たマツカワ(松皮)が期待されるところです。
アンコウ(鮟鱇)
あんこうと言えば東のフグ。特に茨城県北部が有名な産地ですが、近年漁獲が落ち込んでいる様です。国内では北海道産が多くなりました。とにかくアンコウは鍋に最高の食材ですね。
アンキモ
あん肝ポン酢はすっかり冬肴の定番になりました。
国産はかなり減少して寂しいものですが、需要が途切れませんので輸入物が多くなっております。
カジキ(梶木)
カジキ(梶木、舵木、旗魚):マカジキ科・メカジキ科
スズキ目であり、先の2科に4属あり、全部で11種になります。
食物連鎖ではマグロよりも上位になり、インド洋と太平洋に広く分布します(メカジキは全世界)
近海での漁獲は黒潮沿いに伊豆諸島あたりで夏から秋にかけて突きん棒で行われる他、マグロ延縄で随時漁獲されています。(まぐろ狙いの仕掛けにカジキも掛かる)
したがって近海物の出回り期は夏から秋になるのですが、美味なのは産卵に向かう真冬2月頃のカジキ。この時期のマカジキは、マグロよりも美味かったりします。
しかし、近年はマカジキどころか、「しろかわ」や「くろかわ」さえも品薄であり、かろうじて【メカジキ】が出てるような感じになりました。
昔はメカジキ(めか)と言えば「照り焼き」か「フライ」というくらいで、主に加熱調理専用の「お惣菜魚」だったものです。
照り焼きや煮付けでとても美味しいですよ。
今ではこのメカを刺身やすしネタにもしているようですし、関東のスシ職人などはカジキを見向きもしないです。加熱用のメカジキあたりをカジキだと思い込んでいるから余計にそうなるでしょう。
どちらにしても今はマグロ一色になってしまい、料理人さえカジキの刺身の美味さを知らない者が増えました。モノが出回らないので仕方がないんですけどね。
管理人は妙に脂が多い養殖のトロなんかよりも、マカジキ科の「真梶木」「白皮」「黒皮」の刺身が美味いと思います。(メカジキ科メカジキは除外)
なかなか売ってませんが
マグロ(鮪)
マグロ(鮪)は、【くろまぐろ(本マグロ)】【みなみまぐろ(インド鮪)】【めばちまぐろ(ばち)】【きはだまぐろ】の5種がメインとして流通します。
※他に「びん長」など2~3種類があり(全部で7種)ますが、事実上先の4種がマグロとして扱われます。
中でも「まぐろ」で通じるのは「くろまぐろ」一種だけ。
他はそれぞれ「◯◯まぐろ」という具合に呼びます。
旬は漁獲海域によって異なります。
マグロは沖縄の南方海域で産卵し、春になると黒潮、対馬海流に乗って日本列島の両側を北上します。
南九州や和歌山の那智勝浦あたり、そして日本海側の対馬あたりでは「春が旬」になり、三陸や佐渡では夏、そして青森大間や北海道戸井、噴火湾あたりでは秋から12月頃。
栄養を摂りながら北上し、そのピークが北海道南部ですから(一部は太平洋を渡り遥か北米まで行く)、12月頃の北海道マグロが最も脂が回っているわけで、これを基準にすればマグロの旬は真冬から初春となります。
(あくまでも日本近海のくろまぐろの話で、バチは夏が旬であったりします)
カサゴ(笠子)
カサゴ(笠子)は、浅瀬にもいれば深場にもいる。
色や模様は様々で、種類の判別も難しい。
春のメバルにも似ているが、口の大きさ頭のゴツゴツ感で判別できる。
ややこしい地方名が多く、岡山では「赤メバル」と呼ぶし、岩手ではユメカサゴを「のどぐろ」と呼ぶ。その他「あらかぶ」「がしら」「ほご」などとも呼ばれる。
どの種類のカサゴでも、身のしまった美しい白身である点は共通。
冬から春にかけて美味くなる魚。
日本海産笠子
瀬戸内モノ
キンメダイ(金目鯛)
キンメダイ(金目鯛)はこの数十年、主に飲食業者に重宝されてきました。他の天然魚が減少するなか、比較的安定した供給があったからです。
しかし伊豆や相模湾や房総などでも漁獲量は減少傾向。いつの間にか値段も上がり、希少になりつつあります。
「魚枯れの日本」という先行きが案じられますが、こうした事はいくら心配しても無駄なのかも知れません。
刺身でも美味いですが、火を入れると身がふっくらになります。煮付けや焼き物などにすると非常に旨いですよ。
アコウダイ(赤魚・目抜)
赤魚鯛(あこうだい);カサゴ目フサカサゴ科メバル属
アコウダイの別名が、「あこう」、「あかうお」、「ばらめぬけ」
そして「目抜け」です。
一般的には「あこうだい」を指して赤魚と呼びますけども、赤魚(あかうお)という魚は存在せず、主にメヌケやキンキなど、表面が真っ赤な魚の総称として使われます。
中部地方などで人気のある「赤魚の粕漬け」は、型の小さなメヌケやその他の「赤魚類」を原料にしているようですね。
昔は冬になると赤魚類が市場にずらりと並び、華やかだったものです。なにしろ真っ赤っ赤ですからね。
赤魚鯛は極めて美味しい魚で、煮付けにすると絶品です。
今は高級な鍋物材料にすることが多いようです。
メダイ(目鯛)
メダイ(目鯛):スズキ目イボダイ科メダイ属
別名;ダルマ、メナ、バカ、せいじゅうろう
黒っぽい体色と大きな目玉が特徴の深海魚。
産卵期は冬から春。
秋ごろから脂がのり、旬は冬。
あらゆる料理に使えるが、新鮮なものは刺身や鮨ダネで美味しい。薄塩を当てるのがコツ。
メダイは残念な事に認知度がイマイチですが、秋の大型めだいは脂がのり非常に美味い魚です。イボダイの仲間ですので身質もイボダイに似て美味。
ノドグロ(赤陸)
今では「のどぐろ」の名で高級魚になってしまったアカムツ(赤陸)。
背が赤く、腹は灰銀色、目と口が大きく、口の中が黒い。 「むつ」「黒ムツ」同様に歯が鋭い。
旬の冬場にはどのような料理にしても美味いです。
身は煮付け、アラをみそ汁にすると旨い。
クロムツ(黒睦)
クロムツは深場(200~400m)で釣れる白身魚。
「むつ」と似るが別種である。
冬から春先までが旬で、晩秋から脂がのってきます。
冬場のクロムツは刺身が美味い他、焼き物、煮物にも適します。
捌く時は鋭い歯に注意。
メイタガレイ(目板鰈)
メイタガレイは冬場が旬のカレイ。
目板のほか、目痛と書く場合もあります。
上等な「かれい煮付け」や「かれいの唐揚げ」にします。
鮮度が良ければ刺身や洗いに。
アカガレイ(赤鰈)
アカガレイ(赤鰈)は、お惣菜向けのカレイ。
「切りガレイ」「子持ちガレイ」として冷凍品が並んでいます。
別名、「ミガレイ」
冬になると美味しくなる魚で、子持ちを煮付けや焼き物などにします。
旬の寒い時期の新鮮なものであれば、刺身でも美味しく食べられる事はあまり知られていません。
クロソイ(黒曹以)
ソイ類はカサゴの科に属するメバルの仲間で旬は冬。
縞ゾイなどもいるが、ソイの中では黒ソイが最も美味しい。
ハタハタ(鰰)
ハタハタ(鰰、鱩、雷魚、燭魚):スズキ目ワニギス亜目ハタハタ科
別名カミナリウオ、シマアジ、ハダハダ、シロハタ、ハタなど。
秋田県の県魚であり、日本海側で馴染みの深い冬の魚。雷雲が来る寒い日に寄ってくる事からカミナリウオと呼ばれるようになったと云う。
ハタハタ卵を「ブリコ」といい、賞味される。
卵を持ったメスが重宝される。
ハタハタを塩に漬けて2~3年発酵させ魚醤にしたものが『しょっつる』であり、その魚醤で味を付けた鍋料理が『しょっつる鍋』である。
他に秋田の正月料理でもある「はたはたすし」(熟れ鮨)にされたり、干物に加工されたりもする。
煮物に、焼き物に、とても美味しい魚。
軽く干すと旨みが増すので、そのへんを工夫して料理すればさらに良いと思われます。
近年では不漁が続き、秋田でも北海道物や韓国輸入物を使ったりしているようです。
メジナ(目品)
メジナ(眼仁奈、目品):スズキ目メジナ科
別名:グレ、クシロ、ヒコヤ、クチブト、くろいお
関西呼びの「グレ」でお馴染みの磯釣り魚。
タイ科の魚のような姿とベラのような光沢が特徴。
同属の「くろめじな」は少し味が落ちる。
冬になると独特の磯臭も消えて美味くなります。
「めじなのタタキ」は高知の郷土食。
煮付けに塩焼きに、お造りに、冬のメジナは美味。
少し身が柔いが、味があり、皮を炙りにして刺身にするのも良いです。
ブダイ(イラブチャー)
武鯛類は亜熱帯の島嶼部、特に沖縄で食用魚となっている。
本土でも西日本以南で釣れる種もあるが、食用というよりも「観賞魚」「釣り魚」としての比重が重く、稀にしか食べられず市場に出ることも殆ど無い。
新鮮なものは、はぜるような真っ白い白身であり、酢味噌や酢醤油、あるいは生酢などで食するのが一般的。
那覇市の市場に行けばまず必ずブダイが置いてあります。
しかし地元沖縄でも、「グルクンは食べれてもイラブチャーはちょっと・・・」という若い人が多くなっているようです。
ブダイにも数十種類いて模様などが違ってきますけども、ヤヤコシイので「青いのはイラブチャーかオーバチャー」、「褐色系はアーガイ」という感じで、アバウトなものです。
ちなみに額にコブのある奴は「ゲンナーイラブチャー」と言いますが、ゲンナーとはおそらく「げんのう(金鎚)」。つまりカナズチで叩いたようなコブがあるってことでしょう。
イラブチャー
ゲンナー
コイ(鯉)
食用にはマゴイの二年もの、700グラムから1キロくらいの活物を使用する事が多いです。
コイは死ぬと臭みが出て食べれませんので生きたものを使い手早く捌くのが肝要です。
料理する前に一晩綺麗な水で泳がせて泥を吐かせておいた方がよいでしょう。
鯉は泥や砂ごと餌を食べます。また胃と腸の別がありません。そのため養殖場では1時間毎に餌を与えます。
姿の活け物はやはり買う人がいないらしく、ネットショップの店では販売が難しいようです。その代わり鯉の煮物や刺身(洗い)などは売られているようです。
マダラ(真鱈)
マダラ(真鱈)の旬は名前通り真冬の12月~1月。淡白な身は「たらちり」で絶品です。オスですと白子も楽しみですね。
食べ切れなかった身は昆布締めにしておくと良いですよ。
白子
白子(雲子、菊子、たち)
魚の白子(精巣)は鯛や河豚など色々美味しいものがありますが、たんに「しらこ」と言えばマダラの白子を指します。つまり真鱈(まだら)の精巣のことです。
タラはタラでも「スケソウダラ」ではありませんのでご注意。 スケソウの真子(卵)が一般の【タラコ】になります。
ナマコ(海鼠)
ナマコは「海鼠」又は「海参」と書きますが、海参は海の人参って意味でして、中国では特に乾した『乾海参』は超高級品です。
「本朝食鑑」によれば、癌の治療薬としての効果すらあるらしいですな。
外洋にいる赤ナマコと、湾内にいる青ナマコの二種がありますが、赤のほうが旨い。
ナマコは南洋でよく見かける事が多いですよね、でも寒い季節が旬でして、夏は寝てます。寒冷性のナマコもあり、「キンコ」っていいます。これは黒色。キンコを干したものは最高級品として凄い値段で中国に輸出されます(干しアワビも同様)
腸は「このわた」
卵巣は「くちこ」(ばちこ・干し子)
両方ともに塩辛にします。クチコは干したものをよく使います。
カラスミと並んであぶり物の高級品。
シラウオ(白魚)
しらうおは、吸い物、酢の物、卵とじなどに使う。
生きてる間は透明に近いが、死ぬと乳白色になる。
「白魚」の名はそこから。
踊り食いのシロウオとは別種。
イワシ類の稚魚である「シラス」とも違いますので注意。シラスは白子、シラウオは白魚です。
南限は北九州で、北洋産が多く、春に産卵期をむかえ、冬の終わり頃が旬になる。
鮮魚はあまり流通しない(地元を除く)
ほぼ冷凍品である。
使用は寿司屋がメイン。
自然解凍、流水解凍して使用する。
昔は「春の滋味」とされ、冬の終わり頃から春にかけて産卵に向かう白魚を賞味した時代もある。
季節限定の生鮮白魚は珍しい部類
卵とじ等は冷凍品で充分なので、ぜひ酢醤油で生食して、独特の甘味を賞味したいもの。
ワカサギ(公魚)
ワカサギ(公魚、若鷺)は、以前はよく知られた食用淡水魚だった。現在は食卓に出る魚というより、遊漁として位置づけられる。 冬場に凍結した湖に穴を穿つワカサギ釣りは季節を感じさせる。
諸子や鮒などと同じく、市中で見かける事が少なくなった。天ぷら屋でかろうじて見かける程度。
年魚であるが、数年を生きる大きな個体もいる。
食べるには小さいほうが良く、天ぷらなどで旨い。