夏秋果樹
果物の季節(旬・食べ頃)は、だいたい決まっています。
ところが収穫地ほか色々な事情からシーズンが多少ずれこむフルーツもあるんですね。そのような果物を紹介いたします。
枇杷(びわ)
ビワの旬は5月~7月。
中国南部や日本に自生し、中国では1500年前から、日本では1000年ほど前から食用にされています。
代表的な品種は「茂木」と「田中」
酸味が少なく、甘くて果汁が多く、皮も剥きやすい中生種の「茂木」が多く出回ります。茂木というのは、この種の発祥地である長崎県の村名。
田中は長崎産枇杷の実生個体から生じたもので、大きくて丸いのが特徴。やや糖度が落ち、酸味も残ります。
その他、「瑞穂」「大房」「森本」などの品種があり、これらはいずれも茂木より大果です。
健康成分としては、レチノール、カロテン、ポルフェノール、カリウムなどを含んでいます。
ザクロ(柘榴)
旬は8月~11月
紅色に熟する秋が旬。
原産地はペルシャ地方(イラン)で、太古から栽培されていた。中国経由で日本に渡来したのは平安時代。
沢山の種子を覆う外種皮を食用にします。
この部分は品種によって白系、黄系、桃系と色が異なり、汁が多く甘みとさわやかな酸味があり、グラナデインの原料としても知られます。
果汁にはアントシアニン、果皮にはタンニンが含まれます。カリウムがかなり多めなのでデザートに最適と言えましょう。果実酒にもよいですね。
イチジク(無花果)
旬は7月~11月
夏果と秋果があり、8月から10月にかけて熟す秋果が味が良い。
原産地はアラビア半島~小アジアあたりで、旧約聖書にも登場する。
日本には1600年代にポルトガル人が伝えた。
健康成分はビタミンEや、カリウム・カルシウムなどのミネラル。
生食の他、シロップ煮、ジャムなどに。 海外の料理では乾果がよく使用される。
キウイフルーツ
トロピカルフルーツの一種としても扱われますが、旬(収穫期)は秋です。
キウイは、今でこそ上位の果物として日常的に目にしますが、1960年代までの日本にはまったく存在していませんでした。1900年代初頭に、中国のマタタビを、ニュージーランドで育種したのが始まりだとされます。それが「ヘイワード」という品種のキウイです。日本に本格導入されたのは70年代になってからです。
現在のキウイは2系統に分かれます。
●デリシオサ系
一般のキウイは殆どがこの系統です。
果肉はエメラルドグリーンで、芯は白。
品種としては「ヘイワード」と「ノーブル」など。
●キネンシス系
少し変わった品種が多く、黄肉系の「ゼスプリゴールド」や「イエロージョイ」、芯が赤い「紅妃」。「センセーションアップル」など。
また、北米産の毛がなく小さなキウイ「アナンスナヤ」などは、アルダタ系になります。
キウイフルーツはビタミンC、E、B6が豊富で、ミネラルもバランス良く含み、有機酸(クエン酸・リンゴ酸)も多いので疲労回復などの効果があります。
※山野に自生するマタタビは、猫の大好物として知られています。殆どが山狩りで、店頭で見ることはほぼありませんけども、キウイとそっくりなマタタビ属「サルナシ」と同じく、ほんの少量ですが栽培もされています。
カリン(花梨)
旬は秋。
別名アンランジュ。長野ではマルメロと呼ぶこともあります。原産地は中国で、日本に伝わったのは平安期。
渋くて固いので、生食には向いていません。
砂糖漬け、ジャムやゼリーなどに。
ウメのように果実酒にする事が多いようです。
サポニンを含んでいて、マルメロと共に咳止めに効果があると云われます。
※マルメロ(榲桲)
旬は秋。
カリンと混同されますが、属が異なる別種です。
カリンほど固くないのですが、やはり生食よりも加工に使われる果実です。スライスして砂糖漬け、加熱してシロップ漬けなど。
アケビ
あけび(木通、通草)
アケビ科のつる性植物
とろりと甘い白く半透明ゼリー状の果肉は生食で、生では苦味のある果皮は油で炒めたり揚げたりと料理に使えます。
アケビの旬は秋です。
棗(なつめ)
生果であれば熟する秋が旬。
ドングリと似た姿のナツメは、大陸に広く分布しており、日本へもかなり早い時期に伝わっています。万葉集にも記述がみえるし、日本文化のそこかしこに「棗」という文字が出てきます。茶道具とか器などにも多いですね。
食材としては、生食用の果実は殆ど出回らず、ほぼ全てが乾燥品か蜜などに漬けたものです。
乾果の方がミネラルが増加しますので、主に「薬膳用」として使用されている現状にはそれでいいのでしょう。
しかし、甘酸っぱい生果はそれなりにフルーツとして楽しめますので、これから先需要が出れば流通するかも知れません。