秋の野菜
【里芋】と【山芋】
キノコ類
キノコの面白さは民族や地域で嗜好が分れるところです。 日本ではマツタケやハツタケなどのように香り、歯ごたえ、そして味。
茸とは動植物の亡骸から栄養を摂取する菌類の中で胞子を作る大型の器官『子実体』を持つものを指しています。
菌が動物なのか植物なのか微妙なところで、食材としては八百屋が扱いますけども、一応野菜とは区分され「きのこ類」としての扱いになります。
種類は世界で約1万種、日本では約3000種。
食用に出来るものは1000種ほどですが、好んで食べられるのはその三分の一くらいでしょうか。毒キノコは50種くらいです。
実際に店で目にする茸は数種類というところでしょうね。
(毒キノコの見分け方には俗説が沢山ありますが、どれも科学的な根拠は無いので、確信の持てないものは食べないことです)
日本人は大昔からキノコが大好きだった様で、日本書紀にもキノコに関するお国自慢が記されているほどです。
「わが古里の名物は栗茸とあゆ」
低カロリーで食物繊維が多く、たくさんの有効成分。
これらの事から人気は高まる一方で、30種類くらいの茸が人工栽培されていおり、シイタケ、エノキタケ、シメジ類、マイタケ、エリンギなどが人気があります。
世界全体でみるとマッシュルーム(ツクリタケ)がダントツで、次に「フクロタケ」、「しいたけ」という順番でしょうか。
欧米では味に特徴のあるハラタケやヤマドリタケ(ポルチーニ)、ジロール、モリーユなどが好まれます。もっとも「食卓のダイヤ」トリュフも独特の芳香、つまり香りが特徴ですが。
トリュフは別名「西洋ショウロ」で、日本人にはその「ショウロ」の方が口に合うと思うのですが、海岸のクロマツ林自体が見られなくなった現在、『松露』はもうほとんど幻になってしまいました。
しめじ
占地
「しめじ」とは「本しめじ」を指しているもので、一般には殆ど流通していません。
では、店で売られている「しめじ」とは何かと言いますと、「ぶなしめじ」、あるいは「しろたもぎたけ」「はたけしめじ」など、ホンシメジとは別種のものです。
なめこ
モエギタケ科で特有のヌメリがあるキノコ。
日本特有のキノコであるため、地方によって様々な呼び方があり、別名が非常に多い。
市販されている殆どのナメコは栽培物で、菌床栽培(室内)と原木栽培され、原木なめこの方がやや高価です。
特有のヌメリはペクチン質で、多糖類の「ムチン」によるものです。これは食物繊維の一種であり効用がありますので、調理の際はヌメリを洗い流さないように注意しましょう。
ナイアシンやパントテン酸も多いので、味噌汁の具などにして、常食したい食品ですね。
季節の天然物は美味さは格別です。
松茸
松茸はキシメジ科のキノコで、日本では特別な存在として扱われる。特有の香りと歯ごたえが日本人の好みに合い、他に代わるものがない為である。
資源が先細りであり、採取するのが極めて難しいうえに、いまだに栽培に成功していない。輸入モノでは国産松茸の代替足り得ない。したがって極めて高価になっています。
キクラゲ
キクラゲ(木耳)というのは、広葉樹の倒木などに群生するキクラゲ科のキノコの総称で、数種類あります。
別名「みみたけ」「みみきのこ」
世界中に分布しますが、主な輸出国は中国と台湾。
味はほとんど無く、無味無臭のキノコで、主にゼラチン質のコリコリした食感を楽しむ食材です。つまり中国料理に適しているというわけです。
中国料理では主に炒めものやスープなどに用いますが、和食で使う場合は「ワンポイント」的な用い方が多く、細かくして他の材料と混ぜるというやり方が殆ど。
中国では薬膳的な意味を持たせる事がありますが、栄養的にはビタミンDがやや多く、他にビタミンのB群など。そして他のキノコと同じく不溶性の食物繊維くらいでしょうか。それだけでも充分に健康的な食品だと言えるのですが。
高級な中国料理の材料として知られる「白キクラゲ」(銀耳)などは、面白い使い方が出来ると思います。
ほとんど全部が乾燥品ですが、夏場から秋にかけて生のキクラゲも流通します。
天然茸
生きた樹木と共生するマツタケやハツタケなどは難しいので例外ですが、キノコ狩りに行った経験のある方は野生の天然生キノコが全国の流通に乗らない理由がなんとなく分かるのではないでしょうか。栽培でないとキツイものがありましょうねキノコ類は。
しかし、「旅の楽しみ」や「地方の独自性」や「自然保護」などの観点でみれば、栽培物の流通は悪い事ではないと思います。足を使ってこその楽しみってものがあるのです。
山菜もそうですが、都会に居ながらにして自由に入手できれば種の絶滅を招く結果になってしまうでしょう。
忙しい我々には簡単ではありませんので、秋の味覚を販売してくれる方には感謝しますし、ありがたいものですね。
希少な天然舞茸
その他の秋キノコ
栗
クリは大きく分けて日本栗、中国栗(シナグリ)、ヨーロッパ栗の3種があります。(種類としては北半球におよそ12種類のクリがあります)
やや小粒ですが、「天津甘栗」で知られるように甘みが強い【シナグリ】は渋皮が剥きやすいこともあり、焼き栗など加工に使われることが多い。品質は河北省産のクリがもっとも良く、次に山東省産。日本への輸入は昔から河北省の栗が多いようです。
ヨーロッパ栗は、ヨーロッパ原産のもので中粒種が多い。イタリア栗、フランス栗。スペイン栗などが知られ、地中海沿岸での栽培が盛んなようです。渋皮は剥きやすく、マロングラッセや焼き栗などに使われています。
ニホングリ
【ニホングリ】は、北海道から九州にかけて日本の山野に自生する栗で縄文時代から食用にされていた【シバグリ】を、改良栽培したものです。
日本栗の最大の特徴は粒の大きさ。
それと、渋皮が剥きづらいことです。
北海道南部から九州鹿児島にかけてのほぼ全国で栽培されておりますが、主な産地は茨木、栃木、埼玉、岐阜、愛媛、熊本です。
品種としては、
【丹沢】【国見】【銀寄】【筑波】【紫峰】
早生~中生種(9月~10月上旬)
【石鎚】【岸根】
晩生種(10月上旬~)
他に【森早生】【有馬】【出雲】などが知られます
日本栗は全般的に大粒なのですが、なかでも「大グリ」で有名なのは京都の【丹波栗】です。丹波栗は品種名ではなく、丹波地方で栽培される栗全体を意味するブランド名です。
品種として料理人や菓子職人に好まれるのは【銀寄】でしょうね。
この栗の原産地は大阪の能勢町であり、江戸時代から評判の良い栗でした。9月の下旬から10月中旬に出回る中生種です。
利平栗
リヘイグリは、日本栗と中国栗のF1です。
1950年に岐阜の土田健吉氏が種苗登録した栗。
果実が非常に大きく、22~25グラムもある大粒。
チュウゴクグリの「渋皮離れ」を引き継いでおり、他の渋皮を剥きやすいの特徴もあります。品質自体も銀寄に負けていないか上回る面もあるほど。
にんじん
人参(にんじん)
英;carrot 仏;carotte
セリ科ニンジン属
有史以前から人類が食用にしていたとされ、野生種は主に葉を薬用などに使用していたとされます。
栽培種の原産地はアフガニスタンで、11~12世紀頃トルコ経由でヨーロッパへ、シルクロード経由でアジアへ広がりました。
前者が【ヨーロッパ系にんじん】に
後者が【東洋系にんじん】に
現在は世界的にヨーロッパ系が主流になっており、東洋系にんじんはほとんど消滅しています(残っているのは金時にんじんくらい)
※朝鮮人参はニンジンの仲間ではありません
(ウコギ科の多年草)
今はヨーロッパ系のずんぐりした短めの【五寸にんじん】が主流で、色はオレンジに近い赤。店に並んでいる人参の殆どがこれになります。
カロチンが多い健康野菜ですが、カロチンには特有の臭いがあるため子供が嫌う原因にも。しかし最近はこの臭いをおさえた品種が多くなっています。
※ニンジンが語源であるとされるカロチンに加えて、リコピンなど抗酸化成分が多く、また、ビタミンAの多さはよく知られるところです。
ただ、空気と触れるとビタミンCを破壊してしまう酵素があるので、ビタミンC食品と「生のニンジン」を同時に食べないことです(これは塩やレモン汁などをかければ少し抑制できるし、加熱すればまったく問題ありません)
金時人参(京にんじん)
流通している唯一の東洋系ニンジン。
京都では「京ニンジン」と呼び、大阪では「大阪ニンジン」と呼びますが、今は全国的に「京にんじん」が主流。主に香川県で生産されています。
色が鮮やかな金時ニンジンは人参特有の臭いがなく(カロチンをほぼ含んでいないため。代わりにリコピンが豊富)、煮物や酢の物に適しています。
ヨーロッパ系ニンジン
ミニキャロット
別名;「一口にんじん」「ベビーキャロット」
生食できる小さなサラダ人参です。
甘味があって美味しく、料理の彩りとしても可愛い。
秋の果物
梨
梨は「日本梨」「中国梨」「西洋梨」に大別できます。
和梨は、柿やミカンと同じように我が国で大変古くから果物として食べられていました。香りはありませんが水分が多くてザラザラしているのが特徴。この特徴から中国梨と日本梨は「サンドペア」と呼ばれます。
「なし」という言葉は、「無い」につながり縁起が良くありませんので、和食では忌み言葉として文字を変える事がしばしばあります。表記を別のものにしたり、「有りの実」と転換したり。和食ではよくあることです。
赤系と青系があり、赤系の代表が「長十郎」、青系の代表が「二十世紀」です。現在主流になっているのは赤と青をかけあわせた「三水」(幸水・豊水・新水)で、赤梨では「南水」や「新高」など。
西洋梨はねっとり感が特徴で「バターペア」という別名があり、栄養価の面から国内でも注目されるようになっています。代表品種は味の良い「ラ・フランス」
日本梨
日本梨(ワナシ)はシャリシャリの感触から海外では「サンドペア」と呼ばれ、果汁の多さ、甘味と酸味のバランスの良さなどから人気が高い高級品。
長い間人気を博した赤梨の「長十郎」に替わり、赤梨と青梨を交配した【三水】と呼ばれる品種が現在の主役になっています。
8月頃に【新水】が出て、秋口に【幸水】、次に【豊水】という具合に出回ります。そして晩秋から年末にかけて出回る最晩成種の【新興】でナシはシーズンを終えます。
青梨の代表品種「二十世紀」
西洋梨(洋なし)
ラ・フランス
小さくて色も冴えませんが、風味は非常に良く、洋梨の代表的な存在になっています。フランス原産。
ル・レクチェ
日本(新潟県)生まれの西洋梨。
フランスから取り寄せた品種を元に改良されたもの。
糖度は16以上で、食味もラ・フランス以上だと言われます。
ぶどう
ブドウは最古の果物の一つで、栽培暦はおよそ8000年。
中国へは漢の時代、日本には8世紀頃に渡来。
「ヨーロッパ種」「アメリカ種」「その交雑種」の3つに大別できます。
その大半はワイン原料になり、三割程度が生食用です。
我々がフルーツとして食べるブドウの殆どは雑種になります。
(甲斐路(ヨーロッパ晩生)、マスカットなどの例外はある)
注目される「ポルフェノール」(抗酸化成分)は、黒系ブドウの種と皮に集中しています。そのままでは食べづらいものですが、まとめて冷凍してき、フードプロセッサーなどを使いペーストにして使うと便利です(サラダやデザートに混ぜるといいです)
人気があるのはデラウェア、巨峰、藤稔、シャインマスカットなど。
白系ではアレキサンドリア(ネオ・マスカットの上位品種)が。「レディーフィンガー」の品質も注目されます。
最高品質だとされるのが巨峰を改良した「ピオーネ」
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